青色事業専従者給与を活用した節税対策

   不動産貸付をされている多くの不動産オーナー様が、確定申告で特別控除の特典がある青色申告を選択されています。さらに、賃貸住宅経営が事業的規模(独立家屋貸付は5棟以上、アパート等については10室以上)になると青色申告のメリットが拡大します。そのひとつが一定の要件のもと家族への給与を必要経費に出来る「青色事業専従者給与」です。ご家族への収入移転(長い期間で見ると大事な相続対策)や所得税の節税対策に有効なものとなります。
 一般的に「青色事業専従者給与」の使い方は、事業や不動産所得の規模等によって2つに分かれているように思います。1つ目は不動産事業を始めたばかりで必要経費も大きく税金の負担もそれほど大きくないような場合などには103万円以内(家族に所得税が発生しない範囲)で配偶者に給与を支払うといった例です。給与の金額が月額8.5万円・年額102万円なら配偶者に所得税はかかりません(ただし住民税は約1万円要)。青色事業専従者給与を支払うことにより配偶者控除38万円は受けられなくなりますが、不動産所得の経費を102万円増やせますので不動産オーナーの課税所得としては64万円(102万円-38万円)減らすメリットがあります。
 2つ目は不動産事業も軌道に乗り税負担も大きくなっている場合、手伝ってもらう家族の業務に見合った金額の給与を家族にしっかり支払う方法です。その給与は全額不動産事業の経費となりその事業主の節税となります。事業専従者である家族には税金負担はありますが、その給与からは給与所得控除がされ、基礎控除48万円(2020年から10万円upされます)をはじめ、所得控除出来るものを控除した課税所得に比較的低い税率での税金を負担することになります。不動産事業主の節税できた額から専従者負担の税金を差し引いた額が家族での節税額となります。所得税節税は1つ目の時より期待できると思います。給与という形で家族に財産の移転ができますので相続対策という面での活用にもなっていると思います。
 この「青色事業専従者給与」を利用するには、この制度を利用しようとする年の3月15日(2020年から利用するのであれば今年3月16日)までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。私どもの事務所ではお客様の節税につながる対策を常に一緒に考え進めさせていただいています。何でもご相談ください。

税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘
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