「小規模宅地特例」適用要件が一部厳格に

    政府の税制改正大網によると、相続した土地の評価を大幅に減らせる「小規模宅地の特例」の適用が来年4月から一部厳しくなるようです。
 この小規模宅地の特例を受けることにより、故人が生前に自宅として居住していた土地を相続した場合、一定の条件に該当すれば、相続税を算出する時に土地の面積として330㎡までを上限に土地の評価額を80%もカット出来るという制度です。同居していた家族が相続税を納めるために住まいを手放すというようなことがないようにするための措置ですが、亡くなった方に配偶者がなく、かつ同居の法定相続人がいない場合、別居している子供でも相続前の3年間に自分、或いは配偶者が所有する家に住んでいなかった場合、この特例の恩恵を受けることが出来るという制度です。
 しかし、持ち家があって、本来は特例措置の対象にならない子供が、節税のために親族や同族会社に家を売った形にし、そのままそこに住みながら、課税額を少なくするケースなどが増えています。これは立法趣旨に反する節税行為だということで、今回の改正となったものと思われます。
 来年4月以降の相続から相続前の3年間に3親等内の親族や特別な関係のある法人が所有する家に住んでいた人も特例の対象外となるようです。
 このように、立法趣旨に反する過度な節税対策は充分な注意が必要です。所得税は、その年その年の税制のもとで節税を考えることが大事ですが、相続税は何年も先の税制も充分考えていかなければなりません。
 私どもは立法趣旨も充分に熟知し、将来の税制を予測し、将来における税務上のリスクまでも充分に考慮しながら、お客様と一緒に節税を考えていかなければと思っています。
何なりとご相談ください。


税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘
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