残される相続人のために遺言書を

    遺言を残さずに相続が発生してしまった場合、残された財産は相続人全員の共有財産となってしまいます。その共有財産を、相続人全員の話し合いによって相続人それぞれに分配することを「遺産分割」といいます。
 ご高齢の親御さんがお子さんから遺言の作成を懇願され、ご一緒に私どもの事務所に来られることがあります。親御さんは「うちに限って揉めるはずはない」と言われて、遺言の作成に乗り気になられない方が多いです。
 その際に「いいご家庭なのですね。ただ何年か先、何十年か先に相続が発生した時には、肝心のあなたはいないのですよ。揉めないという保証はありますか。お子さん達にはそれぞれ配偶者がおられ、それぞれ相談されるでしょう。また、同じ相続人でも親の世話をしてくれた方と、そうでなかった方では意識の差があって当然でしょう。お金持ちだから権利を主張しないという考えも現在では通じないようです。」などと、話させてもらうこともあります。
 亡くなられた後に身近な相続人がしなければならないことが多くある中で、遺産分割の話し合いはその手間・時間は大変なものになることが想定されます。
 残された相続人の精神的負担を少しでも少なくしてあげるためにも「遺言」は大事だと思います。
 遺言の仕方として、公正証書遺言と、自筆証書遺言がありますが、亡くなられた後で相続人が遺言書を家庭裁判所に持ち込み、家庭裁判所に相続人全員が呼ばれ、遺言書の開封をする等の手間がない、公正証書遺言をお奨めしています。
 遺言に書く内容の注意点として次のようなことがあげられます。
①各財産を誰に渡すかを具体的に明記し、割合では書かない。
②プラス財産だけでなく、借金等のマイナス財産も書く。
③祭祀(葬儀等)の主催者を指定する。
④遺言執行者を指定する。
⑤遺言でこのような分割をした趣旨を「付言」として付け加える。
遺言のことを含め、相続のこと、何なりとご相談ください。一緒に考えさせていただきます。

税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘

 

  

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