相続対策になるからということで、土地を購入しての賃貸用建物の建築を大手の不動産会社の方から勧められているのですが、どのようなことなのでしょうか。というご相談がありました。
相続対策として不動産を利用するメリットは、まず何といっても金銭で資産を保有するよりも相続税の評価額を低く出来る点があります。土地であれば、相続で使われる路線評価額は公示価額(国土交通省が毎年公示するもので取引の時価に近いもの)の8割程度で決められています。建物は固定資産税評価額によりますが、その固定資産税評価額は建築費の6割程度と言われています。
不動産を人に貸せば持ち主の権利が制限される分、評価額はもっと下がります。また貸付事業用の土地には「小規模宅地等の特例」も使え、上限200㎡までさらに評価額を5割引きに出来ます。
土地の取得とか建物建築等に多額の借り入れが必要となることがあります。この借金は相続財産の評価では借入金残高100%が債務控除できますので大きな有効な相続税対策になります。しかし、借入金は返済をしていかなければなりません。将来にわたっての返済計画をよく検討することが重要です。
このような不動産貸付業にはリスクも伴います。借りてくれる人がいない場合も考えなければならないし、賃貸料が下がることもあるでしょう。災害の心配もあります。今回の新型コロナ災害のように予想し難いものもあります。このようなリスクに対する対策を取れるものは充分に取っていく、地道な経営努力も必要になります。このようなお話をさせていただきました。
私どもでは、ご相談に来られた方の思い、財産状況、家庭状況等を充分にお聞きし、それぞれの方にあった節税対策を一緒に考えさせていただいています。何でもご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘