路線価5年連続上昇 コロナで下落となれば補正検討

   国税庁は今月1日、相続税や贈与税の2020年分の算定基準となる路線価を発表しました。全国平均は前年を1.6%上回り、5年連続の上昇だそうです。近畿圏も大阪、京都を中心に上昇しています。私の住んでいる奈良県では大阪へのアクセスが良い北西部および奈良公園などの観光地に近い所は上昇している一方、それ以外の地域では下落が目立ち、県内平均では12年連続の下落です。全国どこもそのような状況のように見えます。インバウンド(訪日外国人旅行)の恩恵を受けてきた観光地および都市部の上昇は大きく、それ以外は下落しているところが多いです。
 路線価は毎年1月1日を評価時点とし、その年に亡くなられた人の相続税の他、その年に贈与を受けた人の贈与税の算定にも使われます。
 今年は新型コロナウィルスの影響などで経済活動が低迷したことにより、1月時点よりも地価が下落する可能性を想定し、国税庁は全国の広い範囲で地価が下落し、路線価が地価(時価)を上回り多くの納税者に影響が出ると判断した場合に、納税者への便宜を図る措置をとるとしています。
 相続税の申告期限は10ヶ月以内に申告することが原則です。このため、1月に亡くなられた人の場合は10月に申告期限を迎えます。減額の補正率を導入する措置が発表される前に申告を済ませてしまっても申告内容を修正する「相続税申告の更生請求」で対応できるようです。また、減額の補正率が導入された対象者には、申告期限の延長なども検討されているようです。
 このように、今年度の路線価の適用にあたっては難しい問題も色々とあります。これらのことも含め、私どもの事務所では最新の情報を洩れることなく把握し、最善の方法で節税をしていくことを考えています。何でもご相談ください。

税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘

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