昨年、法人が対象の事業承継税制に「特例」が設けられ、非常に使い勝手が良くなりました。今回(2019年税制改正)の税制改正では、法人化していない個人事業者向けの事業承継税制が盛り込まれました。法人向けと同様今回の個人向けの事業承継税制も承継に伴う相続税・贈与税の100%納税猶予ができるようになっています。法人の場合、その会社の株式が対象資産となるのに対し、個人事業者の場合は、様々な事業用資産が対象となります。
具体的には、事業で使用している400㎡までの土地と800㎡までの建物、工作機械、パワーシャベル、診療機器など機械・器具備品、車両・運搬具、農家が対象となる乳牛、果樹などの生物、さらに特許権などの無形償却資産まで幅広く対象となります。2019年4月1日から5年以内に「承継計画」を都道府県に提出すれば、贈与・相続税の納税が猶予され、さらに、後継者が死亡するまで事業を継続し、資産を保有すれば納税は免除されます。経営悪化などで廃業する場合、その時点の資産額で贈与・相続税額を再計算し、支払うこととなります。つまり、承継時との差額は免除されるのです。なお、「承継計画」には認定経営革新等支援機関(私ども税理士法人野口会計事務所は認定支援機関です)の指導・助言を受け、特定事業用資産の承継前後の経営見直し等を記載することが求められます。事業に使う土地に関しては従来、相続税の税額を減らすことができる「小規模宅地等の特例」を活用できましたが、この事業承継税制と併用することはできず、どちらかを選択することとなります。
私どもの事務所ではこのような税制改正も充分に把握し、利用できる制度は積極的に活用していくようにしています。 何でもご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘