「自宅をいつ売るべきか」という相談を親御さんの方から受けました。相続税の損得だけなら話は簡単です。親が生前に自宅を売った代金を子が相続するより、自宅を持ったまま子が相続した方が相続税は少なくて済みます。不動産の相続税評価額は時価より低く、自宅の敷地は「小規模宅地等の特例」の対象にもなるからです。
ただ、自宅を相続する子の負担は相続税だけではありません。毎年の固定資産税や、建物の維持管理費、マンションなら毎月の管理費・修繕積立金もかかることになります。将来その家に子が住まない可能性が高いのなら、親が自宅を早めに売るのも選択肢の一つです。認知症などで親の意思能力が不充分になると、後見人を付けない限り売却が出来なくなります。後見人をつけていても、居住用不動産の処分ですので家庭裁判所の許可も必要となります。
親が生前に自宅を売るときにかかる税金は、利益が出ても損をしても負担が軽くなるよう様々な控除や特例などがあり、相続後に子が親の自宅を売るより税金は少なくて済みます。
親が老人ホームや子の家に転居し、空き家になった自宅を売った場合、転居から3年を経過する年の年末までなら譲渡所得から最高3,000万円を控除でき、税率は14%(所得税10%+住民税4%)に軽減されます。介護の必要度や家族の事情などを考慮しながら転居や売却のタイミングを選ぶことになります。
私どもの会計事務所では、それぞれの方の事情、財産の状況、家族の方々の状況等を充分にお聞きして、その方にあった一番良い方法を一緒に考えさせていただきます。何なりとご相談下さい。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘